二重根号の外し方の公式 って便利だよな。
二重根号の外し方の公式
$a>0, b>0のとき, $
$\sqrt{a+b+2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}+\sqrt{b}$
$a>b>0のとき,$
$ \sqrt{a+b-2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}-\sqrt{b}$
なんせ、2重のルートを1重にできるんだからな。
使い方もシンプルで、
- たしたら$2\sqrt{}$の中身 になる
- かけたら$2\sqrt{}$の前の数字になる
という条件をみたす2つの数字のセットを見つけりゃいい。
でもさ、この二重根号の公式って何で使えるんだろうな。
ちょっと話がうますぎやしねえか。
ってことで、ここでは二重根号の公式の証明に挑戦しようぜ。
二重根号のプラスの公式の証明
まずは二重根号の外し方の公式のうち、プラスバージョンからだ。
プラスの公式
$a>0, b>0のとき, $
$\sqrt{a+b+2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}+\sqrt{b}$
中身の2ルートの前が「プラス」になっている場合の公式な。
ルートの中身を因数分解
まずはルートの中身($a+b+2\sqrt{ab}$)を因数分解するぞ。
こいつを因数分解すると次のようになる。
$$a+b+2\sqrt{ab}$$
$$=(\sqrt{a})^2+(\sqrt{b})^2+2\sqrt{ab}$$
$$=(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2$$
この因数分解では中学数学の「因数分解の平方の公式」を使ってるな。
ってことで、二重根号($\sqrt{a+b+2\sqrt{ab}}$)は次のようになる。
$$\sqrt{a+b+2\sqrt{ab}}$$
$$=\sqrt{(\sqrt{a})^2+(\sqrt{b})^2+2\sqrt{ab}}$$
$$=\sqrt{(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2}$$
ルートを外す
お次はこの前習った「絶対値記号を使った平方根の外し方」を使うぞ。
$$\sqrt{a^2}=│a│$$
だったよな。
ルートの中身が「何か」の2乗になっていれば、その「何か」に絶対値記号をつけてルートを外せるんだ。
$\sqrt{(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2}$の中身は「$\sqrt{a}+\sqrt{b}$」の2乗になってるな。ってことは、
$$\sqrt{(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2}$$
$$=│\sqrt{a}+\sqrt{b}│$$
となる。
絶対値記号を外す
お次は絶対値記号を外すぞ。
絶対値記号を外す時の法則は次のもんだったな。
$$a≧0 のとき │a│ = a$$
$$a<0 のとき │a│ = -a$$
つまり、絶対値記号の中身が0以上なら符号をそのままはずせて、0より小さいなら符号を逆転させて絶対値記号を外すんだ。
二重根号を変形したやつを見てみるぞ。
$$│\sqrt{a}+\sqrt{b}│$$
絶対値記号の中身($\sqrt{a}+\sqrt{b}$)は、0より大きくなるよな。なぜなら、$a>0, b>0のとき,$っていう条件が二重根号のプラスの公式に与えられているからだ。
$a>0, b>0$なら$\sqrt{a}>0, \sqrt{b}>0$、つまりは$\sqrt{a}+\sqrt{b}>0$。
ということは、絶対値記号の中身が0より大きい!
そん時はそのまま絶対値記号外せるんだったよな。
つまり、
$$a>0, b>0より,$$
$$│\sqrt{a}+\sqrt{b}│$$
$$=\sqrt{a}+\sqrt{b}$$
となる。
これで二重根号のプラスの公式を証明できたぜ。
二重根号のマイナスの公式の証明
続いてはマイナスの公式の証明だ。
二重根号のマイナスの公式は次のようなものだったな。
マイナスの公式
$a>b>0のとき,$
$ \sqrt{a+b-2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}-\sqrt{b}$
これもさっきのプラスの公式と同じ流れだから安心しろ。
ルートの中身を因数分解
$$\sqrt{a+b-2\sqrt{ab}}$$
$$=\sqrt{(\sqrt{a})^2+(\sqrt{b})^2-2\sqrt{ab}}$$
$$=\sqrt{(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2}$$
ルートを外す
$$=\sqrt{(\sqrt{a}-\sqrt{b})^2}$$
$$=│\sqrt{a}-\sqrt{b}│$$
絶対値記号を外す
$$a>b>0より, \sqrt{a}-\sqrt{b}>0$$
$$│\sqrt{a}-\sqrt{b}│$$
$$=\sqrt{a}-\sqrt{b}$$
うん、証明できたな。
ポイントは絶対値記号を外す時だ。二重根号のマイナスの公式を使う前提だった「$a>b>0$」に注目。
$a$が$b$より大きい、ってことは、$\sqrt{a}$の方が$\sqrt{b}$より大きいってことだな。
ってなわけで、絶対値記号の中身「$\sqrt{a}-\sqrt{b}$」は0以上だから、そのまま絶対値記号を外せるんだ。
二重根号の証明につかったのは、
だったな。
それじゃあ!