高校数学では二次関数を平行移動してきたな。
だが、しかし。
高校数学は二次関数を平行移動するだけじゃおさまらねぇ。
なんと、
二次関数を対称移動させてくんだ。
対称移動とは復習すると、
ある直線を軸として折り返して移動させること
だったよな。
例えば、このこのような放物線があったとしよう。
x軸に対して対称移動させたら、こうなって、
$y$軸に関して対称移動させらこのようになる。
原点に対してだったら、次のようになる。
つまり、対称となる直線を折り目として座標平面をおった時に重なる放物線が、対称移動した結果できる放物線ってわけよ。
ここではその二次関数の対称移動のうち、基本の公式を紹介するぞ。
基本の公式は次の3パターンだ。
この3パターンマスターするため、ここでは
$y= 2x^2+5x+1$
という二次関数をそれぞれのパターンで対称移動させていこうな。
まず$x$軸だな。
$x$軸に関して放物線を対称移動させる、ってことは次のようになるんだ。
この図からわかる通り、
$y$の値の符号が逆転しているな?
一方で、$x$の値は対称移動させても同じ、ってこともわかるはずだ。
ということで、放物線 $y= 2x^2+5x+1$をx軸に関して対称移動させてやった場合、
$y$の値の代わりに$-y$を代入してやればいいわけだ。
さっきの二次関数$y= 2x^2+5x+1$でいうと、x軸に関して対称移動させると次のようになるな。
$y= 2x^2+5x+1$
$-y= 2x^2+5x+1$
$y= -2x^2-5x-1$
続いて、$y$軸に関して対称移動させるぞ。
安心しろ。
$x$軸に関する対称移動と同じ考えで充分だ。
放物線を$y$軸に関して対称移動させたら、次の図のようになるよな。
$x$の符合が逆転する一方、今度は$y$がそのまま同じってわけよ。
ゆえに、二次関数の式の$x$の代わりに$−x$を代入した二次関数を求めりゃいいのな。
さっき見てきた二次関数$y= 2x^2+5x+1$を$y$軸に関して対称移動させると、次のようになる。
$y= 2x^2+5x+1$
$y= 2(-x)^2+5(-x)+1$
$y= 2x^2-5x+1$
最後は原点に関して対称移動させる方法だ。
原点に関して放物線を対称移動させると、次の図のようになる。
話が原点に及ぼうが、ビビることはないぞ。
原点の場合、
$x$軸と$y$軸に関してそれぞれ対称移動させる方法を融合させればいいんだ。
つまり、$x$軸に関して対称移動させた後、$y$軸に関して対称移動。
この2ステップを踏んでやれば、気づいたら結果的に、原点に関して対称移動させたことになるのさ。
「原点に関して対称移動」とはつまり、
$x$と$y$の両方の符合を逆転させればいいってわけよ。
もはやお馴染みとなった二次関数$y= 2x^2+5x+1$を原点に関して対称移動させるぞ。
$x$と$y$の代わりに$−x$と$-y$を代入してやればいいんだ。
すると、こうなる。
$y= 2x^2+5x+1$
$-y= 2(-x)^2+5(-x)+1$
$-y= 2x^2-5x+1$
$y= -2x^2+5x-1$
これで原点だろうが、二次関数を対称移動できるようになったな!
以上、二次関数を対称移動させる方法だ。
$x$と$y$の符号を変えるだけだから、そんな難しいことなかったな。
だが、ここまでは基本技だ。組体操でいうと、サボテンってとこだな。
それじゃあなぁ!
関数のグラフの点を全て同じ方向に移動させること
を
平行移動
っていうんだ。
で、高校数学では二次関数をガンガン平行移動させていくぞ。
ありがたいことにな、二次関数のグラフの平行移動には公式が用意されている。声出して喜んでもいいぞ。
公式
放物線の二次関数の$y= ax^2+bx+c$を$x$方向に$p$、$y$方向に$q$平行移動させたら、放物線の式は次のようになる。
$$y-q= a(x-p)^2+b(x-p)+c$$
早速この公式を使ってみるぞ。
例えば、
$$y= 3x^2+5x+7$$
という二次関数を$x$方向に-3、$y$方向に1、平行移動させてみよう。
さっきの公式でいえば、
っつうわけだ。よって、公式を使って平行移動した放物線の式は次のようになる。
$$y-q= 3(x-p)^2+5(x-p)+7$$
$$y-1= 3(x+3)^2+5(x+3)+7$$
$$y= 3(x^2+6x+9)+5x+15+7+1$$
$$y= 3x^2+18x+27+5x+23$$
$$y= 3x^2+23x+50$$
さっきの公式を使えば、どんな二次関数でも平行移動できそうなことがわかった。
だけどよ、なんであの公式が使えるんだろうな??
なぜ$p$を引かなきゃいけないのか??
むしろ、直感的にはたしてやりてえぐらいだしさ。
そんな疑問も冷静に考えれば解けるぞ。
例えば次のように考えてみよう。
$y= f(x)$で表される関数があったとする。
この関数のある1つの点を
$$(x,y)$$
としよう。その点をx方向にp、y方向にqだけ平行移動させた点を
$$(x’,y’)$$
とする。
冷静に考えてみると、移動した点の$(x’,y’)$というやつは、$x$座標は$x+p$になって、$y$座標の$y’$は$y+q$になるよな。
だから、
になる。こいつを$xとy$について等式変形してみるぞ。
この新しい$xとy$を元の関数$y= f(x)$に代入してみよう。
すると、次のようになる。
$y= f(x)$
$y’-q= f(x’-p)$
になる。すると、どうだ?? 新しく平行移動した$x’$と$y’$で関数が表せているな。
$y= f(x)$という関数を$x方向にp、y方向にq$だけ平行移動させた関数は
$$y-q= f(x-p)$$
になるわけだ。
二次関数の$y= ax^2+bx+c$を$x$方向に$p$、$y$方向に$q$平行移動させたら、yの代わりに「y-q」、xの代わりに「x-p」を入れてやればいい。
よって、
$$y-q= a(x-p)^2+b(x-p)+c$$
になる!
二次関数の平行移動の公式をマスターしたな?
それじゃあな!
中学数学では「2点を通る一次関数の求め方」、勉強してきたよな。
なんと、高校ではな、こいつをステップアップさせて、
3点を通る二次関数の放物線の求め方
を勉強していくぞ。
例えば次のような問題だ。
人間の世界は違い世知辛いな。だって、どんどん難しいことをやらせるんだからな。
今日はそんな世間の世知辛さに直面しているお前らのために、3点を通る二次関数の放物線の求め方を解説してやるぜ。
この問題の解き方は次の3ステップだ。
さっきの例題、解いていくぞ。
問題文に3つの座標の点、書いてあるだろ?
そいつらをすべて、二次関数の基本形$y=ax^2+bx +c$に代入するんだ。
すると、3つの式が得られるはずだ。
例題でやってみるぞ。
3つの座標の点は、
だったよな?
こいつらをすべて$y=ax^2+bx +c$に代入すると、次の3つの式が得られるはず。
さっき生み出した俺たちが生み出した3つの式を見てみろ。
があるよな。
文字が3つ、3つの式。
そう、これは中学数学で倒したことがある連立方程式の3つのバージョンだ。
業界用語で「3元一次方程式」と呼んでいたこともついでに思い出してくれ。
この3つの連立方程式の解き方、復習しておこうか。
まず1つの文字を消去して、それから2つの文字で連立方程式にして、いつも通り解く、
っていう手順だった。
忘れちまったやつは復習しといてくれや。
さて。例題に戻るぞ。
例題で出てきた3つの文字の連立方程式はこうだ。
$\begin{cases}
\begin{aligned}
3 & = 4a + 2b + c & \quad (1) \\
-7 & = 25a + 5b + c & \quad (2) \\
9 & = a – b + c & \quad (3)
\end{aligned}
\end{cases}
$
これをさっき復習した解き方で解くぞ。
1つ目の式から3つ目の式を引いて$c$を消去!
$-6=3a+3b$
$a+b=-2$
ほいでふたたび、2つ目の式から3つ目の式を引いて$c$を消去!
$-16=24a+6b$
$12a+3b=-8$
で、新しくできた2つの$aとb$についての連立方程式を解くぞ!
$\begin{cases}
\begin{aligned}
a+b & = -2 & \quad (4) \\
12a+3b & = -8 & \quad (5) \\
\end{aligned}
\end{cases}
$
式(4)を3倍して式(5)から引くと・・・・
$9a=-2$
$a = -\frac{2}{9}$
になる!
で、$a = -\frac{2}{9}$を式(4)の$a+b=-2$に代入して$b$を求めるぞ。
$a+b=-2$
$-\frac{2}{9}+b=-2$
$ b=-2+\frac{2}{9}$
$ b=-\frac{16}{9}$
オッケー、あとは$c$だな。ここまでゲットした$aとb$を最初の式(3)の$9=a-b+c$に代入!
$9=a-b+c$
$9=-\frac{2}{9}-(-\frac{16}{9})+c$
$c=9+\frac{2}{9}-\frac{16}{9}$
次のように$abc$の値が得られたはずだ。
$c=\frac{67}{9}$
ここまでくりゃ、ゴールは目前さ。
あとは、ゲットした3つの文字($a・b・c$)を二次関数に代入するだけだ。
連立方程式との格闘で息切れしちまってるかもしれねえが、この$abc$は$y=ax^2+bx +c$の$abc$、だったもんな。
ってことで、3つの文字($a・b・c$)を二次関数$y=ax^2+bx +c$に代入すると、次のようになる。
$y=ax^2+bx +c$
$y=-\frac{2}{9}x^2-\frac{16}{9}x +\frac{67}{9}$
これが3点$abc$を取る二次関数の放物線の式だ。
おつかれさん、ってやつだな。
こんな感じで、少々厄介だが、実際に使っていたのは中学数学で学んだことがある、3つの連立方程式の解き方だけだ。
これを機に、中学数学の復習をしておくのもアリだよな。
それじゃあな!
二次関数$y=ax^2+bx +c$ってさ、 いろんな形してるよな。
こんなんだって、
あんなのだってあるだろうし。
じつは、この二次関数のグラフの形は、
$a$の大きさによって変化するんだ。
$a$が大きければを狭い開き具合になるし、
逆に小さければ、緩やかな開き具合になるってことよ。
ということは、$a$が同じ二次関数ならば、生えてる場所が同じだけで放物線の形は一緒。
ということは、ということは。
$a$が同じ二次関数ならば、片方の二次関数を平行移動させれば、もう1つの二次関数に重ねて一致させられるわけだ。
どうだ?
やってみたくなっただろう?
この好奇心を先読みしてたんだろうな、きっと。
高校数学では、
二次関数を平行移動させて重ねる・一致させる問題がよく出てくるんだ。
たとえば、次の問題な。
今日はこの問題の解き方を勉強していこう。
この手の問題の解き方が次の3ステップだ。さっきの例題を一緒に解いていくぞ。
まずはお馴染みとなった動作からだな。
2つの二次関数をそれぞれ平方完成させて頂点を求めよう。
二次関数の軸・頂点を求める公式を覚えているやつは、このステップをスキップしてもいい。
公式を忘れた、もしくは、平方完成力に自信があるやつは、このステップからやっていこう。
さっきの例題で、2つの二次関数をそれぞれ平方完成させるぞ。
$y=3(x^2+\frac{5}{3}x)+7$
$y=3\{(x+\frac{5}{6})^2-\frac{5^2}{6^2}\}+7$
$y=3(x+\frac{5}{6})^2-\frac{25}{12}+7$
$y=3(x+\frac{5}{6})^2-\frac{59}{12}$
$y=3x^2-11x$
$y=3(x^2-\frac{11}{3})x$
$y=3\{(x-\frac{11}{6})^2-\frac{11^2}{6^2}\}$
$y=3(x-\frac{11}{6})^2-\frac{121}{12}$
平方完成は無事に通過したな?
次はこの形から二次関数の頂点を求めていくぞ。
二次関数の基本形「$y=a(x-p)^2 + q$」の頂点は、
$$頂点(p, q)$$
だったよな。
だから、例題の2つの二次関数の頂点は次のようになる。
平方完成すると、$y=3(x+\frac{5}{6})^2-\frac{59}{12}$になるから、
$(-\frac{5}{6},\frac{59}{12})$
平方完成すると、$y=3(x-\frac{11}{6})^2-\frac{121}{12}$になるから、
$(\frac{11}{6},-\frac{121}{12})$
頂点の求め方の公式を覚えていたやつは、公式に$a・b・c$を代入して二次関数の頂点をそれぞれ求めておくれ。
頂点が求めれば公式を使うが何しようがオッケーだ。
最後に、2つの頂点の差を見つけてゲット。
その頂点のズレを埋めてやるように、二次関数を平行移動させてやればグラフが一致するはずさ。
ここでのコツは、
座標平面に書き出す!
だ。実際に書いてみると見えてくるものもあるのさ。
さて。
1つ目の二次関数の頂点を、2つ目の二次関数の頂点に、一致させるためにはどうすればいい??
そう、
(2つ目の二次関数の頂点 )と(1つ目の二次関数の頂点)の差の分だけ移動させりゃいいよな。
つまり、
(2つ目の二次関数の頂点 )-(1つ目の二次関数の頂点)
の分だけ、移動させりゃ、2つの二次関数は一致するはずだ。
例題の二次関数の頂点たちは、
だったよな?
(2つ目の二次関数の頂点 )-(1つ目の二次関数の頂点)
を$x・y$座標それぞれ計算してやろう。
$\frac{11}{6}-(-\frac{5}{6})$
$=\frac{16}{6}$
$=\frac{8}{3}$
$\frac{121}{12}-\frac{59}{12}$
$=-\frac{180}{12}$
$=-15$
ってことで、$x方向$に$\frac{8}{3}$、$y方向$に$-15$移動させれば2つの二次関数は重なるはずさ。
以上、二次関数を平行移動させて一致させる問題の解き方だ。
解けるようになったな?
そじゃぁなぁ!
前回、平方完成で二次関数の軸と頂点を求めるやり方、勉強してきた。
でもさ、毎回平方完成してしないとなんて、大変不便だよな。
そんなことを思っちゃったお前に朗報だ。
じつはな、二次関数の軸と頂点を求める3秒で求められる公式があるんだ。
それは次のものだ。
$y=ax^2+bx +c$ という二次関数があったとしよう。このとき、
$軸= -\frac{b}{2a}$
$頂点 (-\frac{b}{2a},-\frac{b^2-4ac}{4a})$
なんだ。
例えば、次の二次関数があったとしよう。
$$y=2x^2+5x +17$$
この二次関数において$a・b・c$は次のようになる。
この3つの$a・b・c$を先の公式に代入してやれば、軸と頂点を求められるぞ。
$-\frac{b}{2a}$
=$-\frac{5}{2×2}$
=$-\frac{5}{4}$
$(-\frac{b}{2a},-\frac{b^2-4ac}{4a})$
$=(-\frac{5}{2×2},-\frac{5^2-4×2×17}{4×2})$
$=(-\frac{5}{4},-\frac{25-136}{8})$
$=(-\frac{5}{4},-\frac{111}{8})$
全く便利な公式だぜ。
$軸= -\frac{b}{2a}$
$頂点 (-\frac{b}{2a},-\frac{b^2-4ac}{4a})$
よかったな、現代に生まれてさ。
でも、なぜこの公式が使えるのか気になってこないか。
その理由は、二次関数$y=ax^2+bx +c$を平方完成して軸と頂点を求めてやればわかるぞ。
試しにやってみよう。
$y=ax^2+bx +c$
$y=a(x^2+\frac{b}{a}x) +c$
$y=a\{(x+\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2}{4a^2}\} +c$
$y=a(x+\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2}{4a} +c$
$y=a(x+\frac{b}{2a})^2+\frac{4ac-b^2}{4a} $
$y=a(x+\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2-4ac}{4a} $
よし、これで二次関数の基本形、
$$y=a(x-p)^2 + q$$
になった。
$p$と$q$に対応する値を発見して軸と頂点を求めような。
今回は$pが-\frac{b}{2a}$、$qが-\frac{b^2-4ac}{4a}$だから、次のような軸と頂点になるな。
これ、さっき紹介した公式だよな。
だから、ぶっちゃけ、平方完成から軸と頂点を求めるやり方を習得しておけば公式を忘れても大丈夫ってわけよ。
結局、二次関数の軸と頂点は平方完成で求めるやり方を知っておくべきなんだな。
平方完成でいつも軸と頂点を求めるのはちょっと…やっぱ公式使いたいな・・・・
そんなお前のために、公式の覚え方を伝授してやる。
それは次のものだ。
塾(じゅく)に間(マイナス)に(2)合(a)わないビー(b)チ姫
塾長(ちょうてん)迷(まいなすよん)え(a)!美人(bじじょう)がひく(–)夜(よん)のエース(ac)
1つ目の「ビーチ姫」が軸、2つ目の「塾長」は頂点のy座標の覚え方だ(x座標は軸と同じだからいいだろ?)。
ちょっと絵にもしずれえ怪しい感じになっちまったが、どうだ?
この覚え方で公式を覚えるのか?
それとも平方完成によって二次関数の軸と頂点を求める方法をマスターしておくのか?
それはお前次第だ。
それじゃな!
前回、二次関数の軸と頂点の基本の求め方を勉強してきたよな。
これでこの基本形、
$$y=a(x-p)^2 + q$$
になっている二次関数の軸と頂点なら容易にゲットできるようになったわけだ。
でもさ、いつでも、どんなときも、この基本形に二次関数なってるわけはないよな?
例えば、次の二次関数を見てくれ。
$$y=5x^2+2x +4$$
この二次関数、基本形にぜんぜんはまってないよな。
そんな二次関数の軸と頂点を求めるのは諦めるしかないのか?
いや、そんなことは無い。
これから紹介する、
平方完成による二次関数の軸と頂点の求め方
を使えば、どんな二次関数が来ても軸と頂点を求められるようになるんだ。
えっ。
平方完成ってなにー?
だと・・・?
平方完成は中学数学の二次方程式で勉強した内容だったな。
平方とは「2乗」、同じ数を2回かけることを意味する。
つまり、「同じ数を2回かける」形になっていないものを、強引に「同じ数を2回かける」形にするのが平方完成だ。
忘れちまったやつは復習よろしくな。
さて、早速、二次関数の軸と頂点の求め方を平方完成でやってみるぞ。
さっき出てきた二次関数の例題の二次関数の軸と頂点を一緒に求めてみよう。
$$y=5x^2+2x +4$$
次の4ステップだ。
まずは下準備だな。
二次関数の中で、
$x^2$の係数
に注目してくれ。
つまり、$x^2$の前についてる数字だな。
この$x^2$の係数で「$x$がついている項たち」をかっこでくくってやるんだ。
例題の二次関数に注目するぜ。
$$y=5x^2+2x +4$$
$x^2$の係数は・・・・
5
だな。で、「$x$がついている項たち」は
の2つだ。
ってことで、こいつらを「$x^2$の係数」の5でくくると、こうなる。
$$y=5x^2+2x +4$$
$$y=5(x^2+\frac{2}{5}x) +4$$
えっ、$x^2$の係数が「1」ならどうしたらいいかって?
その場合は、このステップを飛ばしてオッケーだ。次にいこう。
下準備終了。ってことで、早速平方完成やっていくぞ。
ポイントは、
$x%$がついている項だけで平方完成するってことだ。
さっきの例の二次関数では、
$(x^2+\frac{2}{5}x) $
だな。
それ以外の「$x$がついていない定数項」は脇に置いてスルー!
ってことで、$(x^2+\frac{2}{5}x) $を平方完成するぞ。
$$y=5x^2+2x +4$$
$$y=5(x^2+\frac{2}{5}x) +4$$
$$y=5\{(x+\frac{1}{5})^2-\frac{1}{25})\} +4$$
さて、完成した平方($(x+\frac{1}{5})^2$)はそのまま保存だ。
それ以外の項たちを計算してきれいにまとめるぞ。
すると、次のようになる。
$$y=5\{(x+\frac{1}{5})^2-\frac{1}{25})\} +4$$
$$y=5(x+\frac{1}{5})^2-\frac{1}{5}+4$$
$$y=5(x+\frac{1}{5})^2+\frac{19}{5}$$
これで、二次関数が基本形 $y=a(x-p)^2 + q$ になったよな。
後はこの基本形から、
にあたる数を探し、その情報から軸と頂点の式に$p$と$q$を代入すればいいんだ。
さっきの例の二次関数に戻るぞ。
$$y=5(x+\frac{1}{5})^2+\frac{19}{5}$$
それぞれ$p$、$q$は次のようになる。
ゆえ、軸($x=p$)と頂点($(p,q)$)は次のようになる。
以上が、平方完成を使った二次関数の軸と頂点の求め方だ。
この方法をマスターしておけば、どんな二次関数がきても、軸と頂点を求められるんだ。
ここは先生が大好きで、テストでも出やすい。
踏ん張って、軸と頂点の求め方の平方完成バージョンを習得しような。
えっ。
いちいち平方完成しなきゃいけないなんて・・・・ちょっと・・・・
だと?
それじゃあなぁ!
高校生では中学数学と同じように二次関数を勉強していくぞ。
二次関数とは復習すると、
$x$の次数が「2」の関数
だったよな。
中学数学では
$$y=ax^2$$
っていう二次関数を集中的に勉強してきたことを思い出してくれ。
ここで思い出して欲しいのは
というキーワードだ。
二次関数のグラフは、
物体を真上に投げたときに描かれる線
のように変化するから「放物線」といって、
左右対称になっていたな。
そして、この対称の軸、つまり、放物線を重なるように折りたたんだときの折り目を「軸」。
この軸と放物線の交点を「頂点」といったことを思い出してくれ。
中学数学では、原点(0,0)に頂点がある二次関数を取り扱ってきた。
だが、高校数学では、放物線が原点から解き放たれちまったんだな。
こんなんとか、
あんなんとか、
そういった二次関数を勉強していくんだ。
高校数学では、これらの自由になった放物線の軸と頂点を求めていくぞ。
ってことで、ここではその二次関数の軸と頂点の求め方の基本技をマスターしようぜ。
二次関数の軸と頂点の求め方の基本を習得していこう。
とあるところにな、偶然、二次関数の、
$$y=a(x-p)^2 + q$$
がいるとしよう。
この放物線の軸は、
$$x= p$$
頂点は、
$$(p, q)$$
になるんだ。
これが軸と頂点の求め方の基本だ。
つまり、二次関数の$p$と$q$にあたる数を探してやればいいんだな。そしたら、その$p$と$q$を使って軸と頂点をゲットさ。
例えば、
$$y =3(x^2-5)+7$$
という二次関数があったとしよう。
この二次関数は偶然、さっき出てきた
$$y=a(x-p)^2 + q$$
という形だな。偶然な。
で、この式から
どの数字が$p$と$q$になっているか確認すりゃいいってことよ。
冷静に凝視すると、この関数では
だな。
だから、軸($x=p$)は
$$x = 5$$
になる。で、頂点 $(p,q)$ は
$$(5,7)$$
になるわけだ。
よし、ここまでで二次関数の軸と頂点の求め方の基本はわかったな。
でもさ、なんでこの公式使えるんだろうな?
いくらなんでも怪しすぎやしねか?
pがプラスならまだしも、マイナスついちゃってるもんな。
さて。ここで、
$$y=a(x-p)^2 + q$$
という二次関数に注目しよう。
こいつは、原点が頂点の二次関数「$y=ax^2$」からはx軸方向にp、y軸方向にqだけ頂点がずれているんだ。
つまり、「$y$=$ax^2$」をx軸方向にp、y軸方向にqだけ平行移動させたらこの式になるってことよ。、
それじゃなぜこうなるのか?
ここで深呼吸して、冷静に図を書いてみるぞ。
まず原点を頂点する$y=ax^2$という二次関数があるとしよう。
その中の1つの点を
$$(x,y)$$
とする。
この$(x,y)$をx軸方向にp、y軸方向にqだけ平行移動させてやろう。
そうすると、
$$(x+p,y+q)$$
になるよな。
これを仮に
$$(x’,y’)$$
とするぞ。
この$x’$と$y’$’で二次関数を表せれば、平行移動した先の二次関数がわかるはずだ。
ここで$(x,y)$と$(x’,y’)$の関係を見てみよう。
x’はxに$p$だけ足したものだから、
$$x’= x + p$$
になるよな。
同じように、$y$’は$y$からqだけ移動したものだから、
$$y’=y+q$$
になる。
こいつらを変形してやると、
になるわけだ。
これを二次関数の最初の式「$y=ax^2$」に代入さ。
すると次のようになるよな。
$$y=ax^2$$
$$y’-q=a(x’ – p)^2$$
$$y’=a(x’ – p)^2+q$$
さて、これが平行移動後の二次関数の正体だ。
これはまさしくお前らに冒頭で紹介したあの公式の形、
$$y=a(x-p)^2 + q$$
だよな。これがお前らに冒頭で紹介した基本公式だったわけだ。
以上が二次関数の頂点と軸の求め方の基本だ。
だが、世界はこのままじゃ許してくれねえ。
この基本形に当てはまってない二次関数の軸と頂点を求められるようにならねえと、な。
それじゃあなぁ!
高校数学の二次関数では多くのニューワードが出現するぜ。
この前勉強した「象限」に加えて、今回は
が新登場。
しかも、この2つはごっちゃにしやすく間違えやすいときてるんだ。
ってことで、今日は定義域と値域の違いとその覚え方を解説していくぞ。
ズバリ言ってしまおう。
定義域は、関数 $y = f(x)$ の
$x$の範囲のこと
だ。
一方、値域は
$y$の範囲のこと
なんだ。
例えば、一次関数の
$$y = 3x +1$$
があったとしよう。
で、この関数の$x$の範囲が
$$-1 <x< 2$$
だとしよう。
そのとき、$y$の範囲はそれぞれ$x$の範囲の端っこを代入して求めてやると、
$$-2 <y< 7$$
になるよな。
この場合、
「$-1 <x< 2$」が定義域で「$-2 <y< 7$」が値域だ。
それじゃあ、なぜ定義と値域という名前がついているのか?? まあ、気になるよな。
その理由は、関数の$x$と$y$が持つ意味をそれぞれ冷静に考えるとしっくりくるぞ。
$x$は関数に入れる値だよな。入力、インプットに相当するんだ。
関数を「自動販売機」に例えるなら、自動販売機に入れるお金が$x$だ。
つまり、この$x$はプレイヤーが自分で決められる値だ。
つまりつまり、$x$の範囲は自分で決められる、自分で定義できるってわけよ。
ゆえ、この$x$の範囲は自分で定義できる値の範囲、つまり「定義域」になるわけだ。
一方、$y$はどうだろうか??
$y$は、入力値$x$に対して関数から出てくる値のことだ。
つまり、関数から出てくる出力、アウトプットのことさ。
関数を自動販売機と例えるなら、お金を入れて出てくる「飲み物」そして場合によっちゃ、「おつり」も$y$だな。
つまり、$y$の範囲は入力値$x$の値に反応して出てくる値さ。
ゆえ、$y$の範囲は「値域」ってことよ。
だいたい定義域と値域の違いもしっくりきただろ??
でもさ、これ、テストでごっちゃになったらまずいよな。
定義と値域の違いを忘れちまったら、野生の勘で解くしかねーからな。
そんな覚えておきたい「定義と値域の違い」の覚え方を伝授しておこう。
まず定義域からだな。
定義域の覚え方は
低木
をイメージしてくれ。
低木とは、
高さ2メートル以下の樹木のこと
だったよな。
人間界では低木は「ていぼく」と読むそうだが、今回は特別に
低木(ていぎ)
と読んでくれ。
で、この低木(ていぎ)がx軸上に生えている世界、想像できるな??
低木(ていぎ)が生えている範囲、つまり、$x$の範囲は
定義域(ていぎいき)
になるわけだ。
で、値域はどう覚えようか??
ここで登場してもらうのが、
地域のみなさん
だ。
地域のみなさん、高いところが好きだろ?
十中八九、エレベーターに乗るはずだ。
で、エレベーターで$y$軸上を移動している世界を想像するんだ。
地域(ちいき)のみなさんが移動する範囲。
すなわちそれは、縦方向の$y$軸上で、
値域(ちいき)
だ。
地域のみなさんの力を借りれば、値域の意味を思い出せるはずだ。
うん、以上が定義域と値域の意味の違いと覚え方だ。
最後に表で復習しとくか。
域の種類 | 意味 |
---|---|
定義域 | $x$の範囲 |
値域 | $y$の範囲 |
この意味の違いをマスターしたら、次からは実践的な問題を解いていくぞ。
それじゃあなぁ!
高校数学でも関数を勉強していくんだが、1つ、新しい言葉が登場するぞ。
それは、
象限(しょうげん)
だ。
ズバリ、
座標平面の場所の名前のこと
さ。
人間の身体にも「頭」とか「首」とか「肩」とか「腰」とか、パーツに名前がついてるだろ??
それと同じように、座標平面のスペースにも名前がついている、ってわけよ。
たとえば、次のように$x$軸と$y$軸がある座標平面があったとしよう。
右上のスペースを場所を「1」。
そこから反時計回りに「2、3、4」と番号をつけるんだ。それぞれ、
という名前がついているぞ。
この象限を使えば、
どこにある座標があるのか説明できるから便利だよな。
かりに、ここにとある座標の点があったとする。
象限をマスターしていないと、
えっと、この右斜め下ら辺にあるこの点は・・・・
とオドオドしながら説明しねえといけねえな。
でもさ、象限をものにしておけば、
この第4象限にある座標は・・・・
と堂々と胸張って言えるはずだ。
どうだ、かっこいいだろう?
ここで疑問になってくるのが、
座標軸上の点の扱いだよな。
象限の境界ともいえる$x$軸・$y$軸上にある座標はどの象限に属しているんだろう??
じつは、ぶっちゃけ、
$x$軸$y$軸の軸上にある座標は象限には含まれない!
第1象限でもないし、第2象限でもないし、第3でも第4でもない。もちろん、第5象限でもない、ってわけさ。
オッケー、だいぶ象限について詳しくなってきたな。
象限のポイントは次の2つだ。
でもさ、これ覚えられるか?
なぜ、座標平面の右上の場所が1なのか?
で、なぜ、反時計回りに番号が続くのか?
別に時計周りでもいいはずだし、いや、むしろランダムだっていいじゃないか。
そんなお前らのために、とっておきの象限の覚え方を伝授するぞ。
象様の助けを借りるんだ。
「象限」という言葉の1文字目は「象」様だろう??
その象様をな、座標平面の軸の矢印の向きに招待しよう。
神々しいお方だからくれぐれも懇切丁寧、丁重に振る舞えよ。
次は象様の「目の位置」に注目してくれ。
お目目の位置が第1象限
と覚えよう。
象様の目は右上にあるから、座標平面の右上の場所が第1象限になりそうだな。
さて、ここで時を進めるぞ。
その象様が鼻を上げるシーンを想像してくれ。
象様は水浴びするとき、鼻を上にあげるよな??
そのとき、象様はどっち周りに鼻をあげたか??
そう、反時計回り、だよな。
決して、右向きの状態では、時計周りに鼻は上げられないはずだ。
ゆえ、お目目の位置を「1」として、反時計回りに数を数えて象限の名前にするってことよ。
こんな感じで、象様の力を借りれば、
を覚えられるはずだ。
新しい言葉の「象限」にしっくり来たか??
それじゃあなぁ!
判別式って便利だよな。
なんせ、二次方程式の係数を代入するだけで、実数解の個数がわかっちまうんだからよ。
でもな、それだけで終わらないのが判別式だ。
なんと、逆に、
二次方程式の実数解の個数からDの値がわかるんだ。
つまり、
ってわけよ。
この性質を使うと、次のような二次方程式の重解を求める問題を解けるようになるぞ。たとえば、次のような問題な。
ここでは、この重解を求める問題を一緒に解いていこう。
解き方は次の4ステップだ。
まずは判別式を使って方程式をつくるぞ。
この二次方程式の実数解は重解。
ということは、解が1つで判別式は0になるはずだ。
判別式の公式は覚えてるよな?
$$D = b^2-4ac$$
こいつに$a$、$b$、$c$の値を代入していくぞ。
例題の二次方程式、
$$3x^2 + (m+1)x + m -2 = 0$$
の$a$、$b$、$c$の値は次のとおりだ。
すると、この判別式は次のようになる。
$$D = b^2-4ac$$
$$= (m+1)^2-4×3×(m-2)$$
$$= (m^2+2m+1)-12×(m-2)$$
$$= m^2+2m+1-12m+24$$
$$= m^2-10m+25$$
で、これが0になるよっつう方程式を作るんだ。
すると、次のような$m$についての二次方程式ができるはずさ。
$$m^2-10m+25 = 0$$
新しく誕生した二次方程式を解いていこう。
解き方は中学数学で勉強してきた二次方程式の解き方で問題ないぞ。
頑張って解いてやると、次のようになる。
$$m^2-10m+25 = 0$$
$$(m-5)^2 = 0$$
$$m = 5$$
さっきのステップでえられた解を代入して、もともとの二次方程式を作っていこう。
例題ででてきた「$m = 5$」を元の二次方程式「$3x^2 + (m+1)x + m -2 = 0$」に代入だ。
すると、次の二次方程式ができるはずだ。
$$3x^2 + (m+1)x + m -2 = 0$$
$$3x^2 + (5+1)x + 5 -2 = 0$$
$$3x^2 + 6x + 3 = 0$$
$$x^2 + 2x + 1 = 0$$
そしたら、その新誕生した二次方程式を解くぞ。
もちろん、中学数学で勉強した二次方程式の解き方でオッケーだ。
すると、次のように解けるはずだ。
$$x^2 + 2x + 1 = 0$$
$$(x+1)^2 = 0$$
$$x=-1$$
これが答えな。こいつがお前が欲していた重解ってやつだ。
ここだけの秘密なんだが、最後のステップ3と4をスキップできる裏技の公式が存在しているんだ。
それは次のような公式だ。
$$重解= -\frac{b}{2a}$$
この公式を使えば、二次方程式の係数の$a$と$b$を代入するだけで重解ゲットさ。
最後に、わざわざ二次方程式をとかなくていいんだ。
えっ、なぜこの公式で使えるのかって?
その理由は解の公式を復習するとわかるぞ。
解の公式は次のようなものだったな。
$$x = \frac{-b±\sqrt{b² – 4ac}}{2a}$$
重解になる、すなわち判別式の「$D=b^2-4ac$」ということは、この解の公式の右上の「$±\sqrt{b² – 4ac}$」のルートの中身が0になる、ってことだよな。
よって、このプラスマイナスルートの部分は0になって消えちまう。
結果、この二次方程式の解はルート部分を考慮しなくなった
$$x = -\frac{b}{2a}$$
になるはずなんだ。
だから、さっき紹介した重解の公式「$重解= -\frac{b}{2a}$」が使えるってわけよ。
この重解の公式を知っていれば、面倒な因数分解がはぶけて楽!
でもな、別に覚えていなくても、大丈夫だ。
重解を求める問題は解けるから安心してくれ。
今回紹介したのは、二次方程式の実数解の個数が1つになる「重解パターン」だった。
安心しろ、重解以外の問題でも解き方は同じだ。
異なる2つの実数解だろうが、はたまた、実数が持たない二次方程式だって同じ方法で解けるんだ。
つまり、
っつうステップを踏めばいいんだな。
うん、おっけー、二次方程式の勉強はこれぐらいにしよう。
次はいよいよお前らが大好きな「二次関数」を深掘りしていくぞ。
それじゃあな!
前回、判別式の使い方を勉強してきたよな。
判別式は次の公式だったことを思い出してくれ。
$$D=b^2-4ac$$
こいつはベーシックなノーマルタイプ。
どんな二次方程式にも使える判別式なんだ。
だがな、世の中には便利なものがあって、
$\frac{D}{4}$
という判別式も存在しているんだ。
これは二次方程式程「$ax^2+bx+c = 0$」の「$b$」が「偶数」の時に使える特殊な公式さ。
$b= 2 b’$とすると、
$$\frac{D}{4}=b’^2-ac$$
で表せるんだ。
もし、二次方程式の$b$が偶数だったら、その$b$を半分にしたやつ($b’$)を2乗。
そこから$a$と$c$をかけたものを引けばいい、ってことだな。
例えば、次の二次方程式があったとする。
$$3x^2+6x+7 = 0$$
ありがたいことに、偶然、$b$は偶数の$6$だよな。
だから、4分のDの判別式を使うと計算が楽になる。早速使ってみよう。
この場合、$aとb’とc$は次のようになるな。
$\frac{D}{4}$という判別式は、次のように計算できる。
$\frac{D}{4} = b’^2-ac$
$=3^2-3×7$
$=9-21$
$=-12$
$\frac{D}{4}$は0より小せえ!
だから、この二次方程式は実数解を持たない、ってわけな。
別に、$\frac{D}{4}$じゃなくて$D$でもいいんだが、$ac$の前の係数 4がなくなって計算がちっと楽になるってことよ。
でも、なんで$b$が偶数の時の判別式$\frac{D}{4}$が便利なんだろうな?
その理由は、中学数学で勉強してきた「解の公式の偶数バージョン」を思い出せばわかるぞ。
$b$が偶数の時は、次のような解の公式を使えるんだったな。
$$x=\frac{-b’\pm\sqrt{b’^2-ac}}{a}$$
この式の右上に注目だ。
そう、ルートの中身が
$$b’^2-ac$$
で、こいつはまさしく正真正銘のさっき出てきた$\frac{D}{4}$ではあるまいか。
つまり、この右上のプラスマイナスルートの中身の「$b’^2-ac$」が正の数だったら、プラスマイナスの符号がついてるから、2つの実数解が誕生する。
一方、プラスマイナスルートの中身が$0$ならば、厄介なルート部分が消えて解は1つになる。
ルートの中身がマイナスになるなら「実数解じゃない解」しか得られないことになる。
こんな感じで、4分のDでも同じように、bが偶数の場合は実数解の個数を判別できる、ってわけよ。
そしてこの「$b’^2-ac$」というやつは、$D$を4分の1にしたものになってるな。
$b’= \frac{b}{2}$を「$b’^2-ac$」に代入してみるぞ。
すると、次の式になる。
$b’^2-ac$
$=(\frac{b}{2})^2-ac$
$=\frac{b^2}{4}-ac$
$=\frac{b^2-4ac}{4}$
この「$b’^2-ac$」の正体は「Dを4分の1したやつ」だったんだな。
こんな感じで、中学数学で勉強してきた解の公式偶数バージョンを思い出せば、判別式の$\frac{D}{4}$のその生まれの理由もわかるはずだ。
ここまで判別式4分のDの使い方を紹介してきた。
どうだ?
覚える気になったか??
覚える公式が1つ増えた・・・・なんて思っていないか。
確かにな、でも安心しろ。
この判別式$\frac{D}{4}$を覚えるのはマストではない。
「あれば便利で使えるもの」と思っておこう。
あったら便利だけど、なくても生きていける。
例えるなら、雨の日に活躍する長靴だな。
雨の日に長靴を履けば、靴の内部が濡れなくてハッピー。
でも、その一方で長靴がなくても大丈夫だよな。
普通の靴でも雨の中歩行して生きていけるだろ? それと同じだ。
判別式の4分のDがしっくり来たな?
それじゃあなぁ!
高校数学の二次方程式では、
判別式(はんべつしき)
というツールを使っていくぞ。
こいつを使えば、
二次方程式の実数の解(実数解)の個数がわかるんだ。
とある二次方程式 「$ax^2+bx+c = 0$」があったとしよう。
そいつの判別式の公式は次の通りさ。判別式は英語の大文字「D」で表すぞ。
$$D=b^2-4ac$$
そんでな、$D$の値を次の3パターンにわけるんだ。
Dがどのパターンに当てはまるかによって、実数解の個数が次の表のようにわかるんだな。
$D$のパターン | 実数解の個数 |
---|---|
$D > 0$ | 2 |
$D = 0$ | 1(重解) |
$D < 0$ | なし |
いまいちしっくりきていないお前のために、次の2次方程式で判別式を使ってみようか。
$$2x^2+3x-5 = 0$$
この二次方程式では、
だよな?
ってことで、こいつらを判別式の公式「$D=b^2-4ac$」に代入だ。
$D=b^2-4ac$
$D=3^2-4×2×(-5)$
$D=9+40$
$D=49$
うん、$D$は楽勝で0より大きくなるな!
ってことで、さっきの判別式の表と照らし合わせてみよう。
$D$のパターン | 実数解の個数 |
---|---|
$D > 0$ | 2 |
$D = 0$ | 1(重解) |
$D < 0$ | なし |
つまり、$D > 0$のパターン。
よって、この二次方程式の実数解は
2つ
だ!
ここまでで判別式の使い方、わかってきたな。
それじゃあなぜ、判別式が使えるんだろうか??
なぜ「$b^2-4ac$」で二次方程式の実数の解の個数がわかっちまうのか、ちょっと気になるはずだ。
その答えは、中学数学で勉強してきた「解の公式」にあるぞ。
解の公式は、
$$x = \frac{-b±\sqrt{b² – 4ac}}{2a}$$
っつう、呪文みたいな公式だったな。
この解の公式の右上の「$±\sqrt{b² – 4ac}$」に注目してくれ。
もしかして、プラスマイナスルートの中身が、判別式の公式$D$じゃないかよ!?
このルートの中身($b² – 4ac$)が0より大きいなら、$±$の符号がついているから、
で2つの解が存在するはずだ。
一方、ルートの中身が0だったら、どうなる??
そう、そもそもルートの部分は存在しない!
だから、二次方程式の解はルート部分を除いた
$$x = -\frac{b}{2a}$$
になるよな。$±$の符号を考えなくていいから、もちろん解は1つさ。
で、ルートの中身()のが0より小さかったら・・・・・・
そう、実数ではない解になっちまうな。
なぜなら、ルートの中身が0より小さいなんて実数ではありえねえからな。2乗してマイナスになる数なんて想像できない・・・だろ?
ってことで、$D$が0より小さいときは、実数解の個数は「ゼロ」ってことになる。
とまあ、高校数学では「判別式」というかっこいい言葉を使っているが、やっていることはシンプルだ。
中学数学で勉強してきた「解の公式」を思い出せばそのカラクリに気づくだろう。
よし、判別式の公式もわかったし、使い方もわかった。
しかも、なぜ判別式を使えるのか、もわかってきた。
でもさ、最後にまだまだしっくりこないのが
$D$
じゃないか?
なぜ、判別式が「$D$」なのか。
別に、「$F$」でも「$G$」でも「$Z$」でもいいはずだ。
明らかに、日本語の「判別式」とは関係がなさそうだよな。
その推察は正しいぞ。
じつは、この判別式の「$D$」は英語で判別式にあたる
Discriminant
から来ているんだ。
ドラえもんの$D$でもないし、ダイビングの$D$でもなかったんだな、残念だけど。
えっ、「Discriminant」が覚えられないだって?
そういう時はな、高校英語で勉強する、
discriminate
という動詞を思い出してくれ。
こいつは
識別する
という意味があったよな。
だからこの「discriminate」があーしてこうなって派生して、判別式の「Discriminant」に進化した、と思っておけばいいさ。
これで、なぜ判別式が「$D$」を使うのかまでしっくりきたはずだ。
それじゃあなぁ!
高校数学で二次方程式を勉強していると、3秒に1回ぐらい目にするのが
実数(じっすう)
という言葉だ。
一体この「実数」とはどんな数なのか??
今日はその実数の意味をわかりやすく解説していくぞ。
ズバリ実数とは、
有理数と無理数を合わせた数のこと
だ。
有理数と無理数は中学数学で勉強してきたよな?
ちょっと目が泳いだやつもいるだろうから、念のために復習しておこうか。
有理数とは、
分数で表せる数
だったな。
例えば、有理数の具体例には次のやつがあるぞ。
どいつもこいつも頑張れば分数で表すことができるからな。
一方、無理数とは、
分数で表せない数のこと
だ。例えば、平方根(ルート)とか、円周率のπバイとか、そういった数は無理数だったことを思い出してくれ。
この無理数というやつは、
循環しない無限小数
だったこともついでに思い出してくれよな。つまり、無理数というやつは、小数点の続き方に規則性がないんだ。
たとえば、円周率πは、
3.1415926535…..
と無限に続いていくが、その続き方に規則性はない! だから、円周率を暗記することが一発芸になりうるわけさ。規則性あったら暗記するの楽だもんな。
という感じで、ここまでの流れをまとめておこう。
実数とは、
有理数と無理数を合わせた数
だから、
有理数も実数だし、無理数も実数なんだ。
でも、こう思っちゃいないか。
「私の知ってる、想像できるすべての数は実数なのかも…」
さすが、鋭いな。
実数というものは、
実際に存在するすべての数なんだ。だから、お前が頭で想像できる数字っていうのは、だいたい実数だ。
それじゃあ、実数以外の数なんてあるのか??
実際に存在していない「幻の数」なんてものは、この世にあるんだろうか。
じつは、人間の数学界では、そんな実数ではない幻の数があるんだな。
例えば、これから先、数学を勉強し続けたら巡り合うことになる
虚数(きょすう)
ってものがある。
虚数は、実際に存在しない数の具体例の1つだ。
その虚数の具体例をあげよう。
$$\sqrt{-1}$$
つまり、2乗したら「-1」になる数だ。
よーーく考えてみろよ、そんなのありえないよな?
だって、ある数に2乗、つまり2回かけたら、絶対正の数になっちまうからな。
ある数がプラスだろうとマイナスであろうと、2回かけたら答えはプラスだ。
なのに、2乗してもマイナスになる・・・・数・・・・なんて絶対にありえねえ!
でも、人間界ではそんなありえない数を無視せず「虚数」と名付けたんだ。
こんな感じで、人間の数学界では実数以外の数も取り扱っていくことを頭に入れとこう。
実数以外の数も数学界にあるとなると、
実数の見分け方
が気になってこないか??
そこで、そんなお前らのために、とっておきの実数の見分け方を伝授してやる。
それは、
数直線でその数がありそうなところを指で示せたら実数!
という見分け方だ。
例えば、0。
0の位置は数直線でここら辺ってわかるよな。
負の数の- 3とかもあそこら辺だし、分数の$\frac{1}{3}$もあそこら辺だろう。
無理数の円周率π・・・・・もいける。
だいたい3.14だからあそこら辺だし、ルートの2だって「ひとよひとよにひとみごろ」で1.4付近だとわかる。正確じゃなくてアバウトでいいんだ。
とにかく、その数がありそうなところを、数直線上で指で示せたら、そいつは実数だと覚えておこう。
さっき紹介した虚数の「$\sqrt{-1}$」。
こいつが数直線でありそうなところは・・・・・ないよな。
うん、いくら目に力を入れても到底浮かんでこねえ。
こんな感じで、ある数が実数かどうか問われたら、数直線を想像するんだ。
そして、その数がありそうなところを矢印で示せるかで見分けていこう。
それじゃあ!