余弦定理の証明|a²=b²+c²−2bc cosA が成り立つ理由
妖練習 中学数学 一次方程式 スーパードリル 930 (中学数学マスターシリーズ)
よう、消しゴムの妖精のクマシロだ。今回は余弦定理の証明をやるぞ。三平方の定理から、a²=b²+c²−2bc cosA を導いていく。
高校数学Iの三角比では、次の余弦定理が出てくる。
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
この公式を見ると、
「なぜこんな形になるの?」
と思うかもしれない。
特に、
$$
-2bc\cos A
$$
の部分が、少し不思議って感じだよな。
だがしかし、余弦定理は突然出てきた公式ではない。
実は、
三平方の定理から導くことができる公式
なんだ。
余弦定理は、三平方の定理の上位版だ。直角ではない三角形でも使えるように、cosで角の影響を調整しているんだ。
この記事では、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
がなぜ成り立つのかを、三平方の定理を使ってわかりやすく証明する。
証明したい余弦定理
三角形ABCを考える。
角A、角B、角Cの向かい側の辺を、それぞれ
$$
a
$$
$$
b
$$
$$
c
$$
とする。
つまり、
- 角Aの向かい側の辺:a
- 角Bの向かい側の辺:b
- 角Cの向かい側の辺:c
である。

今回、証明したいのは、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
である。
これは、辺
$$
a
$$
を、残りの2辺
$$
b
$$
$$
c
$$
と、その間の角
$$
A
$$
で表す公式だ。
三角形ABCに垂線を下ろす
まず、三角形ABCを考える。
辺の長さは、
$$
AB=c
$$
$$
AC=b
$$
$$
BC=a
$$
である。
ここで、点Cから辺ABに垂線を下ろす。
垂線の足を
$$
H
$$
とする。

つまり、
$$
CH\perp AB
$$
である。
すると、
$$
\triangle ACH
$$
と
$$
\triangle BCH
$$
という2つの直角三角形ができる。
直角三角形を作るために、垂線を下ろす。余弦定理の証明でも、結局は三平方の定理に戻すんだ。
AHとCHを三角比で表す
まず、
$$
\triangle ACH
$$
に注目する。
この直角三角形で、角Aを見る。
斜辺は
$$
AC=b
$$
である。
また、角Aの隣辺は
$$
AH
$$
である。
したがって、三角比の定義より、
$$
\cos A=\frac{AH}{AC}
$$
である。
ここで、
$$
AC=b
$$
なので、
$$
\cos A=\frac{AH}{b}
$$
となる。

両辺に
$$
b
$$
をかけると、
$$
AH=b\cos A
$$
である。
次に、角Aの対辺は
$$
CH
$$
である。
三角比の定義より、
$$
\sin A=\frac{CH}{AC}
$$
である。
ここで、
$$
AC=b
$$
なので、
$$
\sin A=\frac{CH}{b}
$$
となる。
両辺に
$$
b
$$
をかけると、
$$
CH=b\sin A
$$
である。

つまり、
$$
AH=b\cos A
$$
$$
CH=b\sin A
$$
と表せる。
BHを表す
次に、
$$
BH
$$
を考える。
辺
$$
AB
$$
の長さは、
$$
c
$$
である。
また、
$$
AH=b\cos A
$$
だった。
したがって、
$$
BH=AB-AH
$$
なので、
$$
BH=c-b\cos A
$$
となる。

ここまでで、
$$
CH=b\sin A
$$
$$
BH=c-b\cos A
$$
がわかった。
三平方の定理を使う
ここで、
$$
\triangle BCH
$$
に注目する。

この三角形は直角三角形である。
斜辺は
$$
BC
$$
であり、
$$
BC=a
$$
である。
また、ほかの2辺は、
$$
BH=c-b\cos A
$$
$$
CH=b\sin A
$$
である。
したがって、三平方の定理より、
$$
BC^2=BH^2+CH^2
$$
となる。
つまり、
$$
a^2=(c-b\cos A)^2+(b\sin A)^2
$$
である。
ここで三平方の定理が出てくる。余弦定理の証明は、作った直角三角形に三平方を使うだけなんだ。
式を整理する
ここから式を整理していこう。
$$
a^2=(c-b\cos A)^2+(b\sin A)^2
$$
まず、
$$
(c-b\cos A)^2
$$
を展開する。
$$
(c-b\cos A)^2
=
c^2-2bc\cos A+b^2\cos^2 A
$$
また、
$$
(b\sin A)^2
=
b^2\sin^2 A
$$
なので、
$$
a^2
=
c^2-2bc\cos A+b^2\cos^2 A+b^2\sin^2 A
$$
となる。
ここで、
$$
b^2\cos^2 A+b^2\sin^2 A
$$
をまとめる。
$$
b^2\cos^2 A+b^2\sin^2 A
=
b^2(\cos^2 A+\sin^2 A)
$$
三角比の相互関係より、
$$
\sin^2 A+\cos^2 A=1
$$
である。
したがって、
$$
\cos^2 A+\sin^2 A=1
$$
なので、
$$
b^2(\cos^2 A+\sin^2 A)=b^2
$$
となる。
よって、
$$
a^2
=
c^2-2bc\cos A+b^2
$$
順番を整理すると、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
となる。
これで、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
が証明できた。
なぜ -2bc cosA が出てくるのか
余弦定理で特徴的なのは、
$$
-2bc\cos A
$$
の部分である。
これは、
$$
(c-b\cos A)^2
$$
を展開したときに出てくる。
実際に、
$$
(c-b\cos A)^2
=
c^2-2bc\cos A+b^2\cos^2 A
$$
である。
この中の
$$
-2bc\cos A
$$
が、余弦定理の補正部分になる。
つまり、余弦定理の
$$
-2bc\cos A
$$
は、
角Aの影響を表す調整項
と見ることができる。
-2bc cosA は、式を展開したら自然に出てくる。無理やり覚えるものじゃなくて、三平方の定理の中から出てくるんだ。
直角の場合は三平方の定理になる
余弦定理は、三平方の定理の拡張だと考えることができる。
実際に、角Aが
$$
90^\circ
$$
の場合を考えてみよう。
このとき、
$$
\cos90^\circ=0
$$
である。
余弦定理
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
に、
$$
A=90^\circ
$$
を代入すると、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos90^\circ
$$
となる。
ここで、
$$
\cos90^\circ=0
$$
なので、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cdot0
$$
$$
a^2=b^2+c^2
$$
となる。
これは、三平方の定理そのものである。
つまり、余弦定理は、
直角三角形にも、直角ではない三角形にも使える三平方の定理
と考えることができる。
ほかの余弦定理も同じように成り立つ
今回は、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
を証明した。
同じように考えると、
$$
b^2=c^2+a^2-2ca\cos B
$$
も成り立つ。
また、
$$
c^2=a^2+b^2-2ab\cos C
$$
も成り立つ。
したがって、余弦定理は、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
$$
b^2=c^2+a^2-2ca\cos B
$$
$$
c^2=a^2+b^2-2ab\cos C
$$
の3つの形で使うことができる。
aを求めるならA、bを求めるならB、cを求めるならC。どの式も同じ考え方で証明できるぞ。
まとめ
今回は、余弦定理
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
の証明を確認した。
証明の流れは、次の通りである。
- 点Cから辺ABに垂線を下ろす
- 垂線の足をHとする
- AHとCHを三角比で表す
- BHを表す
- 直角三角形BCHに三平方の定理を使う
- 式を整理する
その結果、
$$
a^2=(c-b\cos A)^2+(b\sin A)^2
$$
となり、これを整理すると、
$$
a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
$$
が得られる。
つまり、余弦定理は、
三平方の定理から導ける公式
である。
余弦定理は、三平方の定理を一般の三角形に広げたものだ。垂線を下ろして直角三角形を作れば、公式の正体が見えてくるぞ。
それじゃあな。
妖練習 中学数学 一次方程式 スーパードリル 930 (中学数学マスターシリーズ)

