台盤所の意味とは?台所の語源になった平安貴族の食事空間を解説
妖練習 中学古文 歴史的仮名遣い スーパードリル 330
古典や『源氏物語』を読んでおりますと、平安貴族の屋敷や宮中の中にある場所を表す言葉が出てまいります。
御簾、几帳、屏風、帳台、釣殿、馬場殿。
そして、食事に関わる場所として出てくるのが、
台盤所( だいばんどころ)
でございます。
台盤所とは??
台盤所とは、宮中や貴族の屋敷で、食事を用意したり、器を整えたり、配膳したりする場所のことでございます。
簡単に申しますと、平安貴族の食事を整える場所でございます。

ただし、現代の家庭のキッチンとまったく同じではございません。
現代の台所は「料理をする場所」という印象が強いですが、台盤所はどちらかというと、食事を整え、器にのせ、配膳するための場所という意味合いが強いです。
料理そのものを作る場所というより、食事を準備し、器や台を整え、高貴な人へ出すための場所と考えるとわかりやすいです。
平安貴族の生活は、和歌や香りや恋だけではございません。
食事を出すための裏方空間も、きちんと存在していたのでございます。
台盤とは??
台盤所を理解するには、まず台盤を知る必要がございます。
現代風に申しますと、食事用の台、配膳用の台、格式ある食事台のようなものです。

台盤は食べ物をのせる台
台盤は、食べ物や器をのせるための台でございます。
「台」という字が入っているように、何かをのせるための道具です。
現代でも「作業台」「食卓台」「台に置く」などと言いますわね。
台盤の場合は、特に食事と関わりの深い台です。
台盤所は台盤を扱う場所
台盤所は、この台盤を置き、食事を整える場所です。
食べ物や器を準備し、台にのせ、配膳できるように整える。
そのような食事まわりの実務が行われた場所でございます。
つまり、台盤所という言葉の中心には、食べ物をのせる台というイメージがございます。
ただの台ではなく食事の台
ここで大切なのは、台盤がただの物置台ではなく、食事と関わる台だという点です。
台盤所は、食事を整える場所です。
ですから、台盤という言葉にも、食事、配膳、器、供膳といった空気がまとわりついております。
なぜ台所は「台」の所なのか
現代では、台所といえば料理をする場所を思い浮かべます。
けれども、よく考えてみると少し不思議です。
なぜ「火所」でも「料理所」でもなく、台所なのでしょうか。
「台所」をそのまま分解すると、台の所でございます。
では、いったい何の台なのでしょうか。
ヒントは台盤所にある
そのヒントになるのが、台盤所でございます。
台盤とは、食べ物をのせる台です。
台盤所とは、その台盤を置き、食事を整えたり、配膳したりする場所でした。
つまり、台所の「台」は、もともと食事をのせる台、すなわち台盤の「台」とつながる言葉と考えられます。
台盤所から台所へ
台盤所という言葉は、やがて短くなって、台所という言葉につながったと考えられております。
流れとしては、次のように見るとわかりやすいです。
- 台盤:食べ物をのせる台。
- 台盤所:台盤を置き、食事を整える場所。
- 台所:台盤所が短くなった言葉。
こう考えると、「台所」という言葉の「台」が、急に意味を持って見えてまいります。
現代の台所とは少し違う
現代の台所は、料理をする場所というイメージが強いです。
コンロがあり、流しがあり、包丁やまな板を使い、料理を作る場所ですわね。
けれども、もとの台盤所は、現在のキッチンそのものというより、食事を整えたり配膳したりする場所という意味合いが強うございます。
つまり、現代の台所は「調理する場所」。
もとの台盤所は「食事を整えて出す場所」。
このように、少しニュアンスが違うのでございます。
台盤所は平安貴族のバックヤード
台盤所は、平安貴族の生活を支えるバックヤードのような場所です。
表には、御簾、几帳、屏風、帳台、香り、和歌、装束といった雅な世界があります。
しかし、その裏には、食事を用意し、器を整え、配膳するための空間が必要でした。
食事も身分を表す
平安貴族の社会では、食事もただの栄養補給ではございません。
誰に、どのように、何を出すか。
どの器を使うか。
どのように整えるか。
そうしたことも、身分や格式と関わります。
台盤所は、その食事の格式を支える場所でもございました。
高貴な人は自分で台所に立たない
現代では、自分で台所に立って料理をすることは普通です。
しかし、平安貴族の屋敷では、高貴な人が自分で食事の準備をするわけではございません。
多くの人々が屋敷の中で働き、食事や配膳を支えておりました。
台盤所は、そのような裏方の人々が働く場所でもあります。
雅な生活には裏方がいる
『源氏物語』の世界を読むと、どうしても恋や和歌や香りに目が向きます。
けれども、光源氏も貴族たちも、食事をしないわけではございません。
牛車で出かけるにも人が必要。
手紙を届けるにも人が必要。
食事を出すにも人が必要。
台盤所という言葉を知ると、雅な世界の足元にある生活の実務が見えてまいります。
調理する場所は何と呼ばれたのか
台盤所は、食事を整えたり配膳したりする場所でございます。
では、火を使って食べ物を調理する場所は、何と呼ばれたのでしょうか。
その言葉として押さえておきたいのが、厨でございます。
厨は、くりやと読みます。
意味は、食べ物を調理する場所、つまり調理場や厨房に近い場所です。
- 厨:食べ物を作る調理場。
- 台盤所:食事を整えて配膳する場所。
- 台所:台盤所が短くなり、のちに調理場全体を指すようになった言葉。
現代では台所といえば料理をする場所ですが、もとの台盤所は、調理そのものよりも、食事を整えて出す場所という意味合いが強うございます。
そのため、調理場としてのイメージを出したいときは、厨という言葉を押さえておくとよろしいですわ。
台盤所を現代風にたとえると
台盤所を現代風にたとえるなら、宮中や貴族邸宅の配膳室でございます。
もう少し広くいえば、キッチンまわりのバックヤードです。
ただし、現代の家庭のキッチンというより、大きな屋敷やホテル、料亭の裏方スペースに近いです。
ホテルの配膳室に近い
現代でたとえるなら、ホテルの宴会場の裏にある配膳室を思い浮かべるとわかりやすいです。
表の会場では、きれいに食事が並びます。
しかし、その裏では、料理を整え、器をそろえ、タイミングを見て出す人々が働いております。
台盤所も、そのような食事の裏側を支える空間と考えられます。
料亭のバックヤードにも近い
料亭の奥にも、料理を整え、器を選び、客へ出すための場所がございます。
食事は、ただ作ればよいものではございません。
どの器に盛るか。
どの順番で出すか。
誰に出すか。
そこには格式と段取りがございます。
台盤所にも、そのような食事の段取りを支える空気がございます。
平安貴族のキッチンまわり
もっと簡単に言えば、台盤所は平安貴族のキッチンまわりです。
ただし、現代のキッチンのように、家庭的な料理スペースとしてだけ見るより、宮中や貴族の屋敷にある食事の準備・配膳エリアとして考えるとよろしいです。
古典で出てきたら、「ああ、食事関係の裏方スペースなのだな」と読めば十分でございます。
まとめ:台盤所の意味を整理
最後に、台盤所の意味を整理しておきましょう。
ポイント
- 台盤所は「だいばんどころ」と読む。
- 宮中や貴族の屋敷で、食事を整えたり配膳したりする場所。
- 台盤は、食べ物をのせる台のこと。
- 台盤所は、台盤を置いて食事を準備する場所。
- 現代風には、厨房、配膳室、キッチンまわりのバックヤード。
- 現代語の「台所」は、台盤所が短くなった言葉と考えられる。
- 現代の台所は調理寄り、もとの台盤所は配膳寄りの意味が強い。
- 古典で出てきたら、平安貴族の食事担当エリアとして読むとよい。
一言でいうと
台盤所とは、宮中や貴族の屋敷で、食事を整えたり配膳したりする場所でございます。
現代語の台所につながる言葉として覚えると、とてもわかりやすいですわ。
それでは、ごきげんよう
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