中学生から英語で数学を学習すべき??
中学生から英語で数学を学ぶべきである。
ある日、中学校の数学の先生がこう宣言したらどうしますか?? 10年前、中学生だったぼくだったら、この教師の発言をPTAに報告するか、もしくは数学の学習に絶望感を感じていたかもしれません。それぐらい、「英語で数学を学ぶ」なんて思いも寄らないことでした。
しかしながら、中学校を卒業してから10年あまりが経った今。
ぼくは全国の中学生に数学を英語で学習しながら育ってほしいと願っています。
中学生から英語表現で数学を勉強するべき1つの理由
その理由はただ一つです。
それは、
中学生から勉強する数学は「西洋数学」であるから
です。
いま現在、世界中で勉強されている数学(mathematics)という学問は「西洋数学」のことです。つまり、欧州で生まれた学問。かつて文明が栄えたギリシャ、エジプトでぼくらが誕生するずっっと前(紀元前500年頃)で栄えたヘレニズム数学などがもとになっています。いったら、西洋数学のはじまりはエジプトやバビロニアの時代にさかのぼればもっと古い。紀元前数千年というレベルです。ぼくたちが生きた数十年というスパンを考えれば、とんでもなく昔のできごとですね。
日本で生まれた数学「和算」を捨てた?
もちろん、日本で誕生した数学もありました。その名も「和算」。Wikipediaによると、
和算(わさん)は、日本独自に発達した数学である。狭義には大いに発展した江戸時代の関孝和以降のそれを指すが、西洋数学導入以前の数学全体を指すこともある。
だそうです。江戸時代にもっとも発達していたようです。
和算の例をだすと、
- 招差術(方程式の係数の決め方)
- 約術(数式の簡易化)
などがあります。なんだかゲームで魔法の名称とかに利用されてそうですね。 とにかく、これが日本古来の数学の「和算」というものでした。
しかし、江戸時代の末期に欧米諸国に対して開国をし、富国強兵制度を採用した日本。和算にこだわる余裕がなくなってしまったのです。西洋の数学(洋算)を学ばなければ日本が欧米の植民地になってしまう。そんな危機感から全土で一斉に西洋数学を勉強しはじめます。洋算で教育された生徒が教師になると、「数学」といえば「和算」でなく「洋算」であると認識されるようになったのです。
つまり、日本という国を守るために西洋数学を学ばざるを得なかった訳ですね。
中学校で習う数学用語は「西洋数学」からの流れもの
中学校で学習する数学は「西洋数学」であります。そのため、数学の教科書で登場する数学用語は西洋から輸入されたものなのです。日本独自のものではありません。
したがって、
教科書で教えられる数学用語は、西洋数学の訳語
ということになります。詳しい経緯は知りません。おそらく、英語を読めない日本人の方でも理解できるように、頭をひねって考えだしたのでしょう。
たとえば、方程式という言葉があります。これは西洋数学のformula, equationを日本語に訳したものです。日本古来の和算では「天元術」というものが方程式に近いものでした(代数学の一種)。
話をまとめます。
中学生から勉強する「数学」が西洋数学であるから英語で学ぶべきとぼくは考えます。とはいえ、中学生は英語を学習し始めたばかりの段階。英語力が不十分です。そのため、
数学用語の英語訳を確認する
ことで十分だと思います。たとえば、
方程式とは、様々な対象の間に成り立つ、等号を用いて表すことのできる関係およびその等式のことである。
と教科書で教えるのではなく、
方程式(equation)とは、様々な対象の間に成り立つ、等号を用いて表すことのできる関係およびその等式のことである。
と各々の数学用語に英語訳を付け加えるといった具合にです。
中学生から英語で数学を学習する3つのメリット
中学生から数学と英語を関連させて勉強していくと、以下の3つメリットがあります。
メリット1. 文字式につよくなる
数学用語の英語を知っておくと、文字式に強くなります。
これは一体どういうことなのでしょうか??
中学生の数学と小学校で習う算数の大きな違いは、
文字をつかった数式が登場すること
です。たとえば、円の面積の公式。小学校では、
円の面積=半径×半径×3.14(円周率)
と習いますが、中学生の数学では、
S=πr^2
と勉強します。一見、暗号のように見えて中学数学を嫌いになってしまいそうです。がしかし、数学の英語訳を知っておけば、
Surface(面積) = radius(半径) × radius(半径) × π(円周率)
の略だということがすぐに分かります。「面積はSという文字で表す」ということを闇雲におぼえるのではなく、「なぜ面積はSなのか」と文字式に隠された意味にフォーカスすることが大切です。文字式の由来は大抵、数学の英語用語がもとになっています。ここで英語の数学用語がいきてくるわけですね。
メリット2. 意味がわかりやすい
2つ目のメリットは、数学用語の意味を理解しやすい点です。
有理数、という数学用語をみるだけで吐き気がする。そんな数学嫌いの方もいらっしゃるかと思います。吐き気がする最大の理由は、
「有理」という言葉を日常生活で使わないから
です。「おおおー今日も有理だったなあ!あいかわらず」なんていう会話は考えられません。「有理」という言葉はせいぜい数学の授業で「有理数」を語るときにしか使われません。
一方、「有理数」の英語表現は「rational number」といいます。この数字(number)の前についているrationalという言葉はかなり日常生活で利用する語句です。たとえば、「You are super RATIONAL!!」と叫べば、「あんたはすごく合理的ね!」と相手をほめたりけなしたりすることができるのです。これは日本語訳の「有理」という形容詞と比較するととんでもなく違うことがわかります。
ゆえに、英語圏の方は日本人の方より数学アレルギーを起こしににくいんじゃないですかね。
メリット3. グローバルに戦える
3つ目のメリットは、グローバルに数学用語を使えるようになる点です。
グローバル?? いや、ずっと日本にいるし!なんていう方は関係ないかもしれません。ただ、高齢者の割合がグングン伸び、市場規模が今後さらに縮小されていく日本で商売をするのは今後難しくなります。どんなに英語が苦手な人でも世界規模で勝負しなければならない日がくると言われています。
そんなときに効いてくるのが「英語の数学用語を知っている」ということ。英語で数学を語れなくても、英訳を知っているだけで全然違います。
たとえば、新しい次世代のタイヤ?を開発しているとしましょう。 開発チームのメンバーは中国人に韓国人に、それにタイ人。それぞれ母国語が異なるので共通言語は英語です。このチームの中でいくら技術を持っているエンジニアだとしても、開発の方向性をきめる議論で発言できなければ意味がありません。片言の英語でもいいので「diameter 」という直径の英語訳を知っている。これだけでタイヤの直径に関する意見を出す事ができます。
結構、いい加減な例を出してしまいましたね。 ただ、数学の英語訳を知っている小さな違いで、世界で活躍するという大きな違いを生む、ということを忘れないでください。
このサイトでは数学用語に英語訳をつけます。
以上のようなメリットふまえ、この中学数学の学習サイトでは、
数学用語には必ず英語訳をつける
という方針を採用します。このサイトで勉強してくれている中学生の方々が将来世界で戦える人材になることを願って。数学嫌いにならないことを願って。文字式にめっぽう強くなることを願って。
そんな想いからこのサイトではちょくちょく数学用語の英語訳を確認していきます。これからも楽しんで数学の勉強をしていきましょう。
それでは。
Ken